着物の生地のおはなし

着物の生地のおはなし

きものや帯は大きく分けて、染めと織りがあります。染めとは白生地に織り上げた後、染め加工を施したもの、織りとは糸に色を染めてから織り上げたものをいいます。
今でも日本のきもの地は、工芸品としても実用品としても世界で高い評価を得ています。

繊維の種類

繊維は天然につくられるもの、科学的に人造されるものかによって、天然繊維と化学繊維の二つに分けられます。天然繊維は何から採取されるかによって、動物繊維、植物繊維に分類されます。

天然繊維
動物性繊維
【絹】 
 家蚕、野蚕など

【毛】
 羊毛、カシミア、アルパカ、アンゴラなど

植物性繊維
【種子毛】
 綿花、カポックなど

【靭皮繊維】
 苧麻、黄麻、大麻、藤、楮、芭蕉など

【果実繊維】
 椰子など

【その他】
 イ草など


化学繊維

絹にかわる繊維として次々に新しい繊維が発明されており、また異なった繊維を組み合わせた織物も多く用いられています。

再生繊維
パルプ等の木材の繊維からつくられたもの
セルロース、レーヨン、キュプラ、ポリノジック

半合成繊維
セルロースやタンパク質のような天然に得られる材料に、化学薬品を作用させたもの
アセテート、プロミックス

合成繊維
石炭、石油、天然ガス等を原料として、その元素を科学的に合成して、繊維を人工的につくりだしたもの
ビニロン、ナイロン、ポリエステル、アクリル

染めのきもの地の種類

糸を布に織り上げたあとで精錬、染色したものを染めのきもの地といいます。白生地として後に自由に絵柄が染められ、織りのきものに比べると華やかで彩色豊かです。

縮緬生地
縮緬は染めのきもの地でもっとも使われている生地のひとつです。緯糸に強い撚りをかけて織り、精錬したあとで、撚りが戻ろうとしてできるシボに特徴があります。
糸使いやシボの大小で多くの種類があり、シボの細かいものに一越縮緬、錦紗縮緬などがあり、シボの大きいものに鬼縮緬、うずら縮緬などがあります。
産地は、西陣、丹後、長浜、美濃などが代表で、それぞれの産地名をとって、丹後縮緬、浜縮緬などの名称があります。
着物の反物の浜ちりめんの画像です着物の反物の丹後ちりめんの画像です
紋生地
紋様を変わり織りで表し、これを地紋にした生地です。縮緬に地紋を織りだしたものが紋綸子縮緬、朱子地を朱子縮緬、駒撚り糸を用いた綸子を駒綸子といいます。
地紋の部分に光沢があり、染めたときに加わりよりいっそう効果が高まります。
着物の反物で紋生地の画像で説明していますかわいいうさぎの文様込の反物画像です
羽二重生地
平織が一般的ですが、綾羽二重、紋羽二重などもあります。
羽二重はしなやかさ、厚み、光沢があり、喪服や男物の紋付に多く用いられます。
名古屋帯でよく用いられる塩瀬も厚地の羽二重の一種です。
産地は石川、福井、新潟が代表です。
反物の胴裏地の白羽二重の画像です反物の胴裏地の白羽二重の画像です


織りのきもの地の種類

織りのきもの地は、糸を精錬、染色したあとで織り上げられたもので、紬、御召、上布、絽、紗などが代表的なきもの地です。その他、帯地や袴地などがあります。
特徴は生地に張りと厚みがあり、縞、絣、格子などが多く、また模様を表すために紋織りにしたものもあります。

御召生地
お召縮緬の略で、十一代将軍徳川家斉が愛用し、徳川家のお召料であったところから、この名がついたと伝えられています。
お召は先染めの織物で、織る前に糸を精錬して染色します。糸使い、柄、模様、産地などによって、それぞれ特色のある種類があります。
産地は西陣、桐生、足利、八王子、米沢、十日町などです。
着物の米沢お召生地の反物画像です着物の西陣お召生地の反物画像です
紬生地
紬は繭から真綿を引き出して紡いだ糸で織り上げた織物で、糸の太さが一定ではなく、節のある丈夫な生地です。白地、無地、絣、縞や格子などにおられます。
産地は茨城の結城紬、鹿児島の大島紬が代表で、その他、山形の置賜紬、長野の上田紬、伊那紬、沖縄の久米島紬などがあります。
鹿児島県産本場大島紬の反物の画像です茨城県産結城紬の反物の画像です
絽地
からみ織りの一種で、よこ絽、たて絽があります。通気性があり夏向きの生地です。
駒絽地の反物の小紋画像です
紗地
絽と同じからみ織りの一種で、織り目があらく、薄地で通気性があり夏向きの生地です。

縮地
布地全体に細かいシボのある織物の総称で、よこ糸に強撚糸を用い織りあがったあと、加工してシボをつくった生地です。材料は絹、麻、木綿などです。
産地は新潟の麻地でつくられた小千谷縮が代表で、その他に大和、近江、越中、陸奥などの産地があります。
着物で夏用の麻地小千谷ちぢみの反物画像です着物で夏用の麻地小千谷ちぢみの反物画像です
上布
麻の織物を麻上布といいます。吸汗性があり、しゃりっとした地風で、張りがあるので夏用に使われます。
絣や縞柄が特徴で、麻上布として越後上布、能登上布、宮古上布、近江上布などがあります。
また、絹や綿の薄物も上布といい、明石上布、薩摩上布があります。
宮古織物工業組合証紙付の麻上布反物の画像です宮古織物工業組合証紙付の麻上布反物の画像です






<PR>
お売りになりたいお着物がございましたら、評価の高い着物専門店久屋ひさやに




このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿